2026年7月26日日曜日

令和8年度全国森林計画(変更)及び令和年度森林林業基本計画(更新)の公表について

  • 2026/6/5 林野庁から「全国森林計画(変更)」及び「森林林業基本計画(更新)」が公表されました。
  • 人口減少や輸入材に頼れないという国内外の情勢が強く反映された内容です。
  • また、昨年度の森林・林業白書をうけて生物多様性を高める林業経営が主要テーマの一つとなっています。
  • 全国森林計画 
    • 従来、単層林及び複層林に分類されていた林業適地にある人工林の整備方針については、「多様な伐期の設定や伐採面積の縮小・分割に取り組みつつ」の表現が使われ、より持続可能性と生物多様性に配慮した表現になっています。
    • かつて、化石燃料への転換や自然保護団体の抵抗等により衰退した日本の伝統林業については、「農地や草地等と複合生態系を構成する二次的な里山林の保全管理等に努める。」の記載が注目されます。
  • 森林林業基本計画
    • 人工林の整備及び保全の考え方として、「希少な生物が生息・生育する森林など属地的に生物多様性保全機能の発揮が求められる森林においては、その機能の発揮に必要な施業等により、人工林を維持し、又は天然林へ移行する」ことが記載されました。このことは、現行の択伐面積の上限(0.05 ha未満)に限定されない、より費用負担の少ない施業方法にも選択肢を広げたものと思われます。※ただし、全国森林計画における公益的機能別施業森林「希少な生物の保護のため必要な森林」では「択伐による森林施業に限る」となっていますので注意が必要です。
    • KPI一覧「生物多様性を高める森林づくりが行われている森林の面積割合:2割(令和6年度)→6割(令和12年度)」の記載が注目されます。
    • また、26ページ全体を使って「生物多様性の保全等のための多様な森林づくりの推進」が特集されています。

2026年2月23日月曜日

イヌワシストア見学会のご報告

  •  2026年2月16日(月)、群馬県上毛高原駅構内にオープンしている「イヌワシストア」さまへ見学に行きました。

  • 目的は、イヌワシ保全活動へのご支援のお申し出をいただいた新潟県三条市の社会貢献NPO「ソーシャルファームさんじょう」さまに同行し、支援活動のあり方を勉強するためです。

  • イヌワシストア店長の岸様から、地域のつながりとビジネスを融合させたイヌワシ支援活動のご講義をいただきました。
  • 詳しい内容はnoteをご覧ください。
  • おいしいイヌワシブランドコーヒー お勧めです!

2026年2月10日火曜日

公式 note 3回目の投稿は「日本の林業と世界のワシ類 その3 イヌワシ」です。

2025年の新潟県におけるイヌワシの繁殖状況は、繁殖成功4ペア、繁殖失敗又は未繁殖6ペア、繁殖成功率0.400でした(2026年2月10日)。

  • 2025年、新潟県におけるイヌワシの繁殖成功率は0.400でした。
  • 内訳は、繁殖成功数(少なくとも1羽以上のヒナを巣立たせたペア数)が4、繁殖失敗数(1羽もヒナを巣立たせることのできなかったペア数)が6でした。
  • この他、踏査によって少なくとも巣立ち近くの時期まで育雛の痕跡が確認された1例は、繁殖成功の可能性が高いものの、調査不足等の理由で巣立ちした幼鳥が確認できなかったことから成功と断定できませんでした。
  • 2016年から2025年までの10年間の累積繁殖成功率は、0.448 [0.368-0.530]でした。
  • 内訳は、繁殖成功69、繁殖失敗又は未繁殖85でした。

2025年9月25日木曜日

木質ペレットの国内生産量が10年ぶりに減少!自給率も続落!

  • 2050年カーボンニュートラルの目標達成に向けて国産木質燃料の利用に期待がかかっています。
  • しかし、林野庁の統計データによると、2024年における木質ペレットの国内生産量は10年ぶりに減少しました。
  • 2014年までは50 %を越えていた自給率も2.4 %に低下しています。
  • 日本は古来より輪伐方式の萌芽再生林(いわゆる薪炭林)という持続可能な林業を編み出して燃料を自給してきました。
  • 戦争特需やパルプ生産などによるオーバーユースがたたって持続可能性に黄色信号が灯りましたが、1980~1990年頃には自然の力で回復し、再利用が可能になっていたと考えられます。
  • しかし、タイミングを合わせたように、主に奥山林を対象としていた天然林保護運動が薪炭林も含めるものに変容し、再利用を阻む一因になりました。
  • 今では萌芽再生の可能な期間を過ぎてしまった天然林が多くなり、幹が太り過ぎて伐採効率も低下したため、木質ペレットの生産も薪炭林の再利用も簡単ではありません。
  • この間に、カナダの原生林や、ベトナムの再生困難なほど短い伐採サイクルで生産された木質ペレットが大量輸入されているうたがいがもたれています。
  • 日本と木材輸入国双方の持続可能な林業を実現し、カーボンニュートラルに貢献するためには、森林生態学の専門知識に基づいた林業政策が必要です。また、専門家や行政だけでなく、バイオマス発電企業、木材商社、自然保護団体、そして国民が将来に対する責任を分かち合って行く必要があるのではないでしょうか。

2025年7月28日月曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(8)ニホンザルの群れを襲う。
Series: Hunting Techniques of the Golden Eagle (8) Attacking a Troop of Japanese Macaques.
系列:金雕的狩獵技巧 (8) 攻擊一群日本獼猴。
Серия: Техники охоты беркута (8) Нападение на стаю японских макак.

  • 中南米に生息するオウギワシHarpy Eagle、アフリカに生息するカンムリクマタカCrowned Eagle、フィリピンに生息するフィリピンワシPhilippine Eagleなど、翼開長2mクラスの森林性大型ワシ類は霊長類を捕食することが知られています。フィリピンワシにいたっては、1995年の国鳥指定を機に改名されるまではサルクイワシと呼ばれていたほどです。
  • 人のいないシーズンオフのスキー場を登っていると、右に大きくカーブしたゲレンデの上の方からけたたましい吼声が近づいてきました。
  • 野犬の群れかと思って身構えていると、駆け下りてきたのは10数頭のニホンザルの群れでした。
  • サルの群れは、カーブを曲がらずにゲレンデ横切り、周りを囲むブナ林へ、次々に飛び込んで行きます。
  • 足の遅い仔ザルがブナ林へ入るのを見届けていた大きな大人のサルがブナ林へ駆け込もうとした瞬間、地表数メートルの空中をすべるように黒い塊が迫ってきました。
  • 大ザルがかろうじてブナ林へ逃げ込むと、黒い塊は一気に上空へ舞い上がり、翼を開いてオスのイヌワシに姿を変えました。
  • その後、つがい相手のメスも現れて、ブナ林の上空を徘徊しましたが、高さ2mもあるチシマザサの林床に阻まれてサルを捕らえることができず、ブナ林の向こうへ姿を消しました。
  • 別のイヌワシ生息地では、送電線の上空をたった1羽の幼いイヌワシが通りかかっただけで、送電線下の伐採地で採食していたニホンザルの群れは周りの森林に逃げ込みました。そして、イヌワシが飛び去っても、しばらくの間、1~2頭のサルが鉄塔に上って周囲を見張っていました。
  • このように、亜種イヌワシAquila chrysaetos japonicaも、他の森林性大型ワシ類と同様にサルを襲撃し、たびたび営巣中の巣へ運んでいる様子が目撃されています。

2025年7月17日木曜日

原著論文「生息地選択のモデル化における土地被覆と地形の間の相互作用の重要性(仮訳)」が公開されました。
The original article “Importance of interactions between land cover and topography in modeling habitat selection” is now available.
原始文章: 土地覆蓋和地形在棲息地選擇建模中的相互關係的重要性》已上載
оригинальные статьи: Важность взаимосвязей между растительным покровом и топографией при моделировании выбора местообитаний

  •  The original article "Importance of interplay between land cover and topography in modeling habiatat selection (Natsukawa et al. 2024" が公開されました。
  • 筆頭著者で新潟大学農学部助教の夏川遼生氏による概要の和訳も公開されました。
  • イヌワシの生息環境の保護及び改善を方向付ける上で非常に有益な論文ですので是非お読みください。
  • 以下、概要の和訳に記載された要約です。
    • 生物の生息地としての土地被覆の重要性は、その土地被覆が位置する地形条件によって異なる。
    • イヌワシが繁殖地を決定する際には「巣より標高の高い急傾斜地に位置する老齢林」の存在が特に重要である。

2025年6月10日火曜日

令和6年度森林・林業白書の巻頭は生物多様性特集。
FY2024 Forest and Forestry White Paper opens with a special feature on biodiversity.
FY2024 森林與林業白皮書以生物多樣性的專題開場。
FY2024 Белая книга по лесному хозяйству и лесоводству открывается специальной статьей о биоразнообразии.

  • 2025年(令和7年)6月3日、林野庁から令和6年度森林・林業白書が公表されました。
  • 特集「生物多様性を高める林業経営と木材利用」を含めて生物多様性について記載したページ数は全部で35ページにおよんでおり、令和5年度白書の7ページに比べて質量ともに充実しました。
  • 15ページでは、我が国の森林生態系の特徴と林業の歴史を概説したうえで、「行為規制から始まった我が国の森林の保護に関する施策は、生物多様性の概念も取り込みながら、単純な保護にとどまらず、保全管理・利用までを含む施策へと深化しているといえる。」と述べています。
  • 実際、20世紀の終わりから21世紀の初めに盛んだった天然林保護運動は、我が国の二次林を守る代わりに、輸入木材、輸入パルプの原料を得るため、海外の原生的な森林生態系を犠牲にしてきました。
  • このころ国内に放置された薪炭林やパルプ用材林の多くは、すでに萌芽更新(伐採した根株からの萌芽による森林の再生方法)に適した時期を過ぎています。また、輸入原料を前提に建設された大規模木質バイオマス発電所が各地で稼働しています。このため、「生物多様性を高める林業経営と木材利用」を実現するためには、新たな技術開発と、国民および企業の意識変革が大きな課題です。
  • もう一つの大きな課題は、平成22年(2010年)、当時の民主党政権による行政刷新会議(通称事業仕分け)の際に消滅した、林野庁の生物多様性関連予算を復活することです。経営的に成り立たない人工林を、生物多様性を高めつつ針広混交林へ誘導するためにも、林野庁の生物多様性関連予算の復活が望まれます。

2025年1月28日火曜日

アセスメント(=環境影響評価)制度・風力アセスメント制度に係る在り方についての答申案に異見書を提出しました。
We have submitted our objections to the draft report on the Environmental Impact Assessment System and Wind Power Assessment System.
我們已針對環境影響評估制度和風力發電評估制度的現況報告草案提出反對意見。
Мы представили свои возражения по проекту отчета о состоянии системы оценки воздействия на окружающую среду и системы оценки ветроэнергетики.

  •  環境省「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)(案)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)(1月23日締め切り)に応募し、意見書を提出しました。主な内容は以下のとおりです。
  • 環境配慮手続き、環境影響評価書の継続的な公開および報告書手続きに対する国の関与の必要性を答申案とされたことに感謝を申し述べました。
  • 「種の保存法」「日ロ渡り鳥等保護条約」の保護対象であるイヌワシ・オジロワシについては、出生地と衝突場所との距離が非常に離れており、現在主流の「位置・規模のみなし複数案」では衝突防止に十分な離隔距離を確保できません。
  • このため、十分な離隔距離を確保できる地域への立地誘導による風力発電の導入促進を図ること、十分な離隔距離を確保できない立地については衝突を回避または最小化できる構造の環境配慮型風力発電機の導入促進に必要な支援を国が行うことを提案しました。
  • 環境影響、特に衝突死の予測・評価は不確実性が伴うため、実施後の衝突事故が起きてから順応的に管理するのではなく、あらかじめ、現地調査結果および予測結果の公表にあたって点推定ではなく区間推定法を用いること、絶滅危惧種や地域個体群の環境影響からの回復力を評価し公表することを提案しました。
  • 事後調査の透明性を確保するため専門家等による必要な助言および審査を行う制度の設立を提案しました。この提案は建替事業に係る配慮書手続きを事後調査結果で代替する場合も当てはまります。
  • 小規模風力発電事業では衝突を回避または最小化できる構造の環境配慮型風力発電機を採用した事業者に対して簡易な環境影響評価手法を認めること、必要な支援を国が行うことを提案しました。

2024年12月31日火曜日

2024年、新潟県におけるイヌワシの繁殖状況は、繁殖成功5ペア、繁殖失敗又は未繁殖6ペア、繁殖成功率0.455でした(2025年6月10日更新)。
In 2024, the breeding status of golden eagles in Niigata Prefecture was 5 pairs successfully bred and 6 pairs unsuccessfully bred or not bred, with a breeding success rate of 0.455 (updated June 10, 2025).
2024 年,新瀉縣內金雕的繁殖狀況為成功繁殖 5 對,失敗或未繁殖 6 對,繁殖成功率為 0.455(2025 年 6 月 10 日更新)。
В 2024 году статус размножения беркутов в префектуре Ниигата составлял 5 успешных пар, 6 неудачных или не размножающихся пар, а коэффициент успешности размножения - 0,455 (обновлено 10 июня 2025 года).

  • 2024年に県内で確認されたイヌワシの繁殖成功率は0.455でした。
  • 内訳は、繁殖成功数(少なくとも1羽以上のヒナを巣立たせたペア数)が5、繁殖失敗数(1羽もヒナを巣立たせることのできなかったペア数)が6でした。
  • この他、巣立ちも近い5月下旬以降まで育雛の痕跡が確認された1例、通常なら巣外育雛期の8月下旬に餌運搬の確認された1例の合わせて2例は繁殖成功の可能性が高いものの、調査不足等の理由で巣立ちした幼鳥もしくは巣立ち直前の巣内雛が確認できなかったことから成功と断定できませんでした。
  • 一方、7月の調査で育雛の痕跡(ヒナの糞跡)が通常の巣立ち年よりやや少なかった1例は繁殖失敗の可能性があるものの、巣立ちのピークである6月の大雨で糞痕が流れた可能性があるため失敗と断定できませんでした。
  • なお、2015年から2024年まで10年間の繁殖状況は、繁殖成功72ペア、繁殖失敗又は未繁殖94ペア、繁殖成功率0.434 [0.357-0.513] でした。

2024年11月14日木曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(7)ペアハンティングのときのコミュニケーションの可能性
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (7) Communication possibilities when pair hunting.
系列:金雕的狩獵技巧 (7) 成對狩獵時的溝通可能性。
Серия: способы охоты беркутов (7) Возможности общения при парной охоте.

 

  • 残雪がまばらな4月の丘陵で1羽のメスイヌワシが餌を探していた。
  • メスイヌワシは浅い窪地の灌木を見下ろしてしばらく旋回したのち、丘陵の頂を越えて裏側の谷で半径の大きな旋回を繰り返しながら徐々に高度を下げていった。
  • 狩りをあきらめたのかと思った直後、旋回するメスの下からオスが現れた。
  • メスはオスをしたがえて窪地にもどると、高空にとどまって旋回を始めた。
  • オスはメスの下で灌木に向かって波状に急降下と急上昇を繰り返す。
  • オスは疲れたのか窪地上部の冬枯れの広葉樹にとまったが、メスに攻撃されて(叱られて?)すぐ飛び立ち、再び灌木に向かって急降下と急上昇を繰り返した。
  • すると、灌木の中から2羽の冬毛の残ったノウサギが現れて、窪地を駆け上がって丘陵の背後に消えた。
  • 上空で見張っていたメスは、ノウサギを追いかけて丘陵の背後に消えた。
  • オスもメスに続き、しばらくするとカラスが群がって騒ぎ立てた。
  • 別の事例では、遠くの狩り場から営巣地にかえって旋回しながら急降下と急上昇を繰り返すオスの下からメスが現れて、オスの後を追って狩り場へ向かう様子が観察された。
  • また、若いオスイヌワシが狩り場の林縁にとまっていると、頭上に現れた成熟したメスイヌワシが半径の大きな旋回を繰り返しながらいったん降下したのち旋回上昇して、狩り場を遠方から見下ろすことのできる尾根の松に誘導する様子が何度も観察された。
  • 成熟したのち類まれな狩りの技術を身につけた上記のオスは、新たに迎えた若メスが狩り場に突撃しようと体をゆすり始めると、まだ待て!とばかりにメスの眼前に急降下して突撃を制する様子が観察された。
  • 日本のイヌワシAquila chrysaetos japonicaは、開放的環境を好む世界のイヌワシの中にあって、雪崩道、老齢広葉樹林、薪炭林などのモザイク的な森林環境に生息する特殊な亜種である。他亜種に比べて短い翼や華奢な足指などの外見的特徴だけでなく、根曲がりや灌木の下に隠れた獲物をペアで協力して捕らえるための高度なコミュニケーション能力を身につけて、森林国日本に適応しているのかもしれない。
  • 現状ではイヌワシのコミュニケーションを科学的に証明できていないものの、生息環境の改善や野生復帰などの保護増殖事業において留意すべきであろう。

シリーズ:イヌワシの狩り(6)キツネ狩り?ノウサギ狩り?
Series: Hunting Techniques of the Golden Eagle (6) Is it a fox hunt? Is it hare hunting?
系列:金雕的狩獵技巧 (6) 您是在獵狐狸嗎?是在獵野兔嗎?
Серия: Охотничьи приемы беркута (6) Охотитесь ли вы на лис? Охотитесь ли вы на зайцев?

  •  新潟県におけるイヌワシの産卵時期は最深積雪深の時期を過ぎた直後であることが多い。
  • 標高1,000m、積雪3mを越える老齢広葉樹林でペアのイヌワシが交互に急降下してキツネを狙っていた。
  • すると、キツネの近くのブナの根元からノウサギが跳び出した。
  • メスは目標を切り替えて、上空から足を垂らして逃走中のノウサギを掴み上げ、ブナの樹頂に舞い上がった。ノウサギは一瞬で絶命したようだった。
  • オスは引き続きキツネを狙って急降下を繰り返していた。
  • それに気付いたメスは、ノウサギをブナの枝の上に置き、枝が折れて平らになるまで数回押し付けた。
  • オスのキツネ狩りにメスが加勢すると、キツネは灌木の根曲がりに後ずさりし、深雪に潜り込んで見えなくなった。
  • キツネ狩りをあきらめたイヌワシペアは、ブナの樹頂からノウサギを回収して産卵を控えた営巣地に飛び去った。

2024年2月25日日曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(5)おどし、待ち伏せ、忍び寄りでノウサギを追い詰める。
Series: Golden Eagle Hunting Techniques (5) Scaring, Ambushing, and Sneaking up on Japanese Hare.
系列:金雕狩獵技巧 (5) 嚇唬、埋伏和偷襲日本野兔。
Серия: Приемы охоты на беркута (5) Пугать, устраивать засады и подкрадываться к японским зайцам.

  • 1月上旬、木の生えていない雪の斜面の向こうにある谷へ、オスのイヌワシが飛び込んだ。
  • 谷の手前、標高1,300mの雪の斜面を点々とノウサギの足跡が横切り、疎らに生えたダケカンバの林に入るのが遠目からわかった。
  • 谷から浮かび上がってきたイヌワシは、波状飛翔しながらノウサギの足跡をたどってダケカンバ林の上空に到達した。
  • そのまま林の上空を通り過ぎたイヌワシは、雪に覆われた小ピークにとまってダケカンバ林から出てくるノウサギを待ち伏せた。
  • 20分を過ぎた頃、小ピークから飛び立ったイヌワシは、ノウサギが消えたダケカンバ林の上空で停空飛翔した後、ゆっくり移動して斜面上部のダケカンバの林縁にとまった。
  • イヌワシはすぐに飛び立つと、ノウサギのおよその位置を把握したのか、ダケカンバ林の中央部に向けておどしと思われる激しい急降下を繰り返した。
  • イヌワシは再びダケカンバ林にとまったが、前回よりも林の中央部に近づいている。
  • そろりと飛び立ったイヌワシは、ダケカンバ林の中央に開いたギャップに忍び寄り、静かに両足を雪面に降ろす。
  • 一瞬で雪の中からノウサギをつかみ取り、1km離れた尾根に運んでから摂食した。
  • 一連の狩りにかかった時間は少なくとも1時間43分、移動距離は2km弱だった。近年では、この狩場を含むあちこちの冬山にバックカントリースノーボーダーや登山者が訪れるようになり、イヌワシが落ち着いて狩りのできる環境が少なくなっている。

2024年2月11日日曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(4)ノスリの群れを狙う。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (4) Attacking a flock of Eastern Buzzards.
系列:金雕的狩獵技巧 (4) 攻擊一群東方鵟。
Серия: Способы охоты на беркутов (4) Нападение на стадо канюков.

  • 秋のタカ渡りの時期、山頂にかかる雲の中にイヌワシペアが出入りを繰り返していた。
  • 東方から10個体ほどのノスリの群れが通りかかると、メスイヌワシは分断された群れの一部を追って北へ向かった。
  • 残りの群れを追って南へ向かったオスイヌワシは、波状飛翔を行ってノスリの群れを更に上下に分断した。
  • オスイヌワシは波状飛翔の頂点で大きくはばたき、上の群れに向かって上昇したが、自分の3分の1の体重しかないノスリに追いつくことは困難と思われた。
  • 次の瞬間、オスイヌワシは真っ逆さまにきりもみ降下し、圧倒的な速度差で下の群れに追いつくと、1羽を背中からワシづかみした。力が抜けて翼を開いたノスリをぶら下げて、オスイヌワシはゆっくり谷の中へ降りていった。
  • イヌワシは、クマタカ、トビ、ハチクマ、ノスリ、サシバ、オオタカ、ハヤブサ及びフクロウなど、多種類の猛禽類を狩りの対象にしているが、雲を利用して忍び寄ったり待ち伏せしたり、ペアで挟み撃ちにしたり、相手の攻撃を誘ってから不意打ちしたりして、動きの速い相手に対応している。

2024年2月8日木曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(3)3km離れたトラツグミを捕える。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (3) Catching a White's Thrush 3 km away.
系列:金雕的狩獵技巧 (3) 捕捉 3 公里外的虎斑地鸫。
Серия: способы охоты беркутов (3) Ловля тигрового дрозда в 3 км.

  • 積雪期の午後、大きな営巣谷を西に下る支尾根にとまっていたオスイヌワシが南西に向かってゆっくり飛び立った。
  • 徐々に翼をすぼめて速度を増したオスは、低い尾根をへだてた支谷に入ったところで南向きに急降下した。
  • 急いで支谷の見える位置に観察場所を移動すると、冬枯れした広葉樹林がまばらな北東向きの急斜面から、トラツグミをつかんだオスが舞い上がったところだった。
  • とまり場所からトラツグミをつかんで舞い上がった場所まで3km離れていた。

2024年2月6日火曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(狩りの定義)

  •  本年1月からシリーズ:イヌワシの狩りの投稿を開始しました。遅ればせながら本シリーズにおける狩りの定義を明らかにしておきます。
  • 狩りの定義は1993年に動物社から発刊された「オックスフォード動物行動学事典」(デイヴィド・マクファーランド編、木村武二監訳)の377から380ページ、「狩猟 Hunting」に準拠しています。
  • 同事典では狩猟を下記のように定義しています。
「狩猟は捕食行動の1つの側面で、ある種に属する動物が、他種の個体をとらえる過程をさす。したがって狩猟は、より一般的な探索行動や探査行動とは区別される。狩猟には積極的な探索が含まれることも、また含まれないこともある。(後略)」
  • また、同事典では狩猟の手法及び過程を下記のように分類しています。
【屍肉食】 
【忍び寄り】
【追跡】(誘導追跡、弾道襲撃、にせの襲撃)
【捕獲】
【共同狩猟】
  • イヌワシの狩りは、上記のすべてを使い分け、または組み合わせて行われます。なお、獲物の探索のみの行動は、本シリーズの対象から除外しました。

2024年2月1日木曜日

シリーズ:イヌワシの狩り(2)ペアで執拗にヤマドリを追う。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (2)Pair relentlessly pursues Copper Pheasant.
系列:金雕狩獵技巧 (2)成對無情追逐銅長尾雉
Пара неустанно преследует медного фазана.

  •  北東から南西に伸びる長さ3,000m、高さ300mの主尾根から北西向きに4つの谷が下っており、北西から順に1番谷、2番谷、3番谷、4番谷と呼ぶことにする。主尾根の南西端は西向きに二股に分かれており5番谷と呼ぶことにする。
  • 残雪期の午後、オスが1番谷へ飛び込んだ。そこからヤマドリが飛び出して南西向きに逃避するところをメスのイヌワシが見ていた。イヌワシペアは南西に移動して2番谷の左岸支尾根にとまった。オス、メスの順で谷に飛び込むと、ヤマドリが飛び出してさらに南西向きに逃避した。イヌワシペアは3番谷を通り越して4番谷の右岸支尾根にとまった。再びオス、メスの順で谷に飛び込むと、ヤマドリが飛び出して5番谷の方向へ飛去して見えなくなった。ヤマドリを追ってイヌワシペアも見えなくなった。既に薄暗い時間だったのでこの日の観察は終了した。
  • 翌朝、どちらもそのうを満杯に膨らませたイヌワシペアが5番谷から現れた。

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雪国観光圏スノーカントリートレイルは、3県7市町村(新潟県:湯沢町、南魚沼市、魚沼市、十日町市、津南町、長野県:栄村、群馬県:みなかみ町)の山岳路、歴史ある古道、温泉地などをつなぐ全長307kmのロングトレイルコースです。 著名なアドベンチャーレーサーであり歴代コースディレ...