- 令和6年(2024年)4月1日、上信越高原国立公園イヌワシ保全広域ネットワーク推進連絡会議が発足しました。
- 詳細は信越資源環境事務所の報道発表資料をご確認ください。
- 新潟県イヌワシ保全研究会では、上信越高原国立公園新潟県区域周辺のイヌワシ生息情報の提供、生態学的・林学的知見の共有(Natsukawa and Sergeo 2022, Natsukawa et al. 2024, 柳川・田中2009, 新潟県イヌワシ保全研究会・中越森林管理署2013)および保全対策の提案を行っています。
新潟のイヌワシに関するニュースをお伝えする 新潟県イヌワシ保全研究会のブログです。
Niigata Golden Eagle News.
Blog of the Golden Eagle Conservation Research Group in Niigata
新瀉金雕新聞。
新瀉金雕保育研究小組部落格。
Niigata Steinadler Nachrichten.
Blog der Steinadler-Schutzforschungsgruppe in Niigata.
Новости о беркутах Ниигаты.
Блог исследовательской группы по сохранению беркута в Ниигате.
2024年4月24日水曜日
2024年4月、上信越高原国立公園イヌワシ保全広域ネットワーク推進連絡会議が発足。
In April 2024, the Liaison Conference for the Promotion of a Wide-Area Network for the Conservation of Golden Eagles in Joshinetsu Kogen National Park (tentative translation) was established.
2024 年 4 月,「促進上信越高原國立公園金雕保育廣域網路聯絡會議」(暫譯)成立。
В апреле 2024 года была учреждена Конференция по связи для продвижения широкомасштабной сети по сохранению беркутов в национальном парке Дзёсинэцу Коген (предварительный перевод).
2024年2月25日日曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(5)おどし、待ち伏せ、忍び寄りでノウサギを追い詰める。
Series: Golden Eagle Hunting Techniques (5) Scaring, Ambushing, and Sneaking up on Japanese Hare.
系列:金雕狩獵技巧 (5) 嚇唬、埋伏和偷襲日本野兔。
Серия: Приемы охоты на беркута (5) Пугать, устраивать засады и подкрадываться к японским зайцам.
- 1月上旬、木の生えていない雪の斜面の向こうにある谷へ、オスのイヌワシが飛び込んだ。
- 谷の手前、標高1,300mの雪の斜面を点々とノウサギの足跡が横切り、疎らに生えたダケカンバの林に入るのが遠目からわかった。
- 谷から浮かび上がってきたイヌワシは、波状飛翔しながらノウサギの足跡をたどってダケカンバ林の上空に到達した。
- そのまま林の上空を通り過ぎたイヌワシは、雪に覆われた小ピークにとまってダケカンバ林から出てくるノウサギを待ち伏せた。
- 20分を過ぎた頃、小ピークから飛び立ったイヌワシは、ノウサギが消えたダケカンバ林の上空で停空飛翔した後、ゆっくり移動して斜面上部のダケカンバの林縁にとまった。
- イヌワシはすぐに飛び立つと、ノウサギのおよその位置を把握したのか、ダケカンバ林の中央部に向けておどしと思われる激しい急降下を繰り返した。
- イヌワシは再びダケカンバ林にとまったが、前回よりも林の中央部に近づいている。
- そろりと飛び立ったイヌワシは、ダケカンバ林の中央に開いたギャップに忍び寄り、静かに両足を雪面に降ろす。
- 一瞬で雪の中からノウサギをつかみ取り、1km離れた尾根に運んでから摂食した。
- 一連の狩りにかかった時間は少なくとも1時間43分、移動距離は2km弱だった。近年では、この狩場を含むあちこちの冬山にバックカントリースノーボーダーや登山者が訪れるようになり、イヌワシが落ち着いて狩りのできる環境が少なくなっている。
2024年2月11日日曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(4)ノスリの群れを狙う。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (4) Attacking a flock of Eastern Buzzards.
系列:金雕的狩獵技巧 (4) 攻擊一群東方鵟。
Серия: Способы охоты на беркутов (4) Нападение на стадо канюков.
- 秋のタカ渡りの時期、山頂にかかる雲の中にイヌワシペアが出入りを繰り返していた。
- 東方から10個体ほどのノスリの群れが通りかかると、メスイヌワシは分断された群れの一部を追って北へ向かった。
- 残りの群れを追って南へ向かったオスイヌワシは、波状飛翔を行ってノスリの群れを更に上下に分断した。
- オスイヌワシは波状飛翔の頂点で大きくはばたき、上の群れに向かって上昇したが、自分の3分の1の体重しかないノスリに追いつくことは困難と思われた。
- 次の瞬間、オスイヌワシは真っ逆さまにきりもみ降下し、圧倒的な速度差で下の群れに追いつくと、1羽を背中からワシづかみした。力が抜けて翼を開いたノスリをぶら下げて、オスイヌワシはゆっくり谷の中へ降りていった。
- イヌワシは、クマタカ、トビ、ハチクマ、ノスリ、サシバ、オオタカ、ハヤブサ及びフクロウなど、多種類の猛禽類を狩りの対象にしているが、雲を利用して忍び寄ったり待ち伏せしたり、ペアで挟み撃ちにしたり、相手の攻撃を誘ってから不意打ちしたりして、動きの速い相手に対応している。
2024年2月8日木曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(3)3km離れたトラツグミを捕える。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (3) Catching a White's Thrush 3 km away.
系列:金雕的狩獵技巧 (3) 捕捉 3 公里外的虎斑地鸫。
Серия: способы охоты беркутов (3) Ловля тигрового дрозда в 3 км.
- 積雪期の午後、大きな営巣谷を西に下る支尾根にとまっていたオスイヌワシが南西に向かってゆっくり飛び立った。
- 徐々に翼をすぼめて速度を増したオスは、低い尾根をへだてた支谷に入ったところで南向きに急降下した。
- 急いで支谷の見える位置に観察場所を移動すると、冬枯れした広葉樹林がまばらな北東向きの急斜面から、トラツグミをつかんだオスが舞い上がったところだった。
- とまり場所からトラツグミをつかんで舞い上がった場所まで3km離れていた。
2024年2月6日火曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(狩りの定義)
- 本年1月からシリーズ:イヌワシの狩りの投稿を開始しました。遅ればせながら本シリーズにおける狩りの定義を明らかにしておきます。
- 狩りの定義は1993年に動物社から発刊された「オックスフォード動物行動学事典」(デイヴィド・マクファーランド編、木村武二監訳)の377から380ページ、「狩猟 Hunting」に準拠しています。
- 同事典では狩猟を下記のように定義しています。
「狩猟は捕食行動の1つの側面で、ある種に属する動物が、他種の個体をとらえる過程をさす。したがって狩猟は、より一般的な探索行動や探査行動とは区別される。狩猟には積極的な探索が含まれることも、また含まれないこともある。(後略)」
- また、同事典では狩猟の手法及び過程を下記のように分類しています。
【屍肉食】
【忍び寄り】
【追跡】(誘導追跡、弾道襲撃、にせの襲撃)
【捕獲】
【共同狩猟】
- イヌワシの狩りは、上記のすべてを使い分け、または組み合わせて行われます。なお、獲物の探索のみの行動は、本シリーズの対象から除外しました。
2024年2月1日木曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(2)ペアで執拗にヤマドリを追う。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (2)Pair relentlessly pursues Copper Pheasant.
系列:金雕狩獵技巧 (2)成對無情追逐銅長尾雉
Пара неустанно преследует медного фазана.
- 北東から南西に伸びる長さ3,000m、高さ300mの主尾根から北西向きに4つの谷が下っており、北西から順に1番谷、2番谷、3番谷、4番谷と呼ぶことにする。主尾根の南西端は西向きに二股に分かれており5番谷と呼ぶことにする。
- 残雪期の午後、オスが1番谷へ飛び込んだ。そこからヤマドリが飛び出して南西向きに逃避するところをメスのイヌワシが見ていた。イヌワシペアは南西に移動して2番谷の左岸支尾根にとまった。オス、メスの順で谷に飛び込むと、ヤマドリが飛び出してさらに南西向きに逃避した。イヌワシペアは3番谷を通り越して4番谷の右岸支尾根にとまった。再びオス、メスの順で谷に飛び込むと、ヤマドリが飛び出して5番谷の方向へ飛去して見えなくなった。ヤマドリを追ってイヌワシペアも見えなくなった。既に薄暗い時間だったのでこの日の観察は終了した。
- 翌朝、どちらもそのうを満杯に膨らませたイヌワシペアが5番谷から現れた。
2024年1月29日月曜日
シリーズ:イヌワシの狩り(1)沢に隠れてヤマドリに近づく。
Series: Hunting Techniques of Golden Eagles (2) Hide in a creek and approach Cooper pheasant.
系列:金雕的狩獵技巧 (1) 藏身於溪流中,接近銅長尾雉。
Серия: Способы охоты на беркутов (1) Приближение горных львов, прячущихся в ручьях.
- 日本イヌワシ研究会によれば、イヌワシの生息ペア数は1980年代の半分近くに減少しています。特に、人間の生活域に近く観察の容易な生息地ほど減り方が著しいことから、イヌワシの行動を詳しく観察する機会はかつてより大幅に少なくなったと考えられます。
- イヌワシの保全を志す方々の観察経験を補うことを目的に、イヌワシの狩りの特徴的な観察例をシリーズで投稿することにしました。1例ずつの不定期配信ですので時々このブログをチェックしていただければ幸いです。
- それでは最初の観察例です。
- 残雪期、尾根の上の岩場から飛び立ったオスのイヌワシは、およそ1km先まで水平飛行しながら展葉前の落葉樹林を見下ろした。イヌワシは落葉樹林を通り過ぎた所にある深い沢の源頭部に飛び込むと、翼角を開いて翼先をすぼめ、頭を下にしたスペード型で急降下した。150mほど沢を下ると急に翼をひねって浮き上がり、沢を外れて落葉樹の隙間へ突入した。足元からヤマドリが飛びだして斜面下方へ逃避した。イヌワシはヤマドリを見失い、次の獲物を探しに飛び去った。
- イヌワシが突入した落葉樹の隙間(幹間距離)は15.5m×41.0m(沢幅を含む)であった。
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