2021年12月5日日曜日

2021年、新潟県におけるイヌワシの繁殖成功率は成功7、失敗9の0.438でした。

  •  2021年に県内で確認されたイヌワシの繁殖成功率は0.500 (N = 16) で、2年ぶりに0.4以上を記録しました。
  • 内訳は、繁殖成功数(少なくとも1羽以上のヒナを巣立たせたペア数)が8(推定3含む)、繁殖失敗数(1羽もヒナを巣立たせることのできなかったペア数)が8(推定5含む)でした。
  • 繁殖成功の1例は、イヌワシの狩場再生を目的とする森林整備の結果、ペアが復活した魚沼市の事例でした。
  • 繁殖失敗の1例は、近年、営巣岩壁の上を冬山登山者が通過するたびに繁殖中断が続いていた湯沢町の事例で、今年の繁殖失敗後、ペアが確認されなくなっています。このため、首都圏のある山岳会に登山自粛を呼び掛けたことから、来年の繁殖に期待がかかります。
  • 昨年までペアが確認されていたものの、今年は確認されなくなった事例が2例ありました。
  • このうち1例は、営巣期の営巣中心域(暫定値は巣場所から1.2km以内)で山岳レースが行われた三条市の事例した。現在、ペアの所在を確認するとともに、レース企画者に対して、今後のレースの自粛又は営巣中心域のコース廃止を呼び掛けています。
  • 残りの1例は、2018年の抱卵期、営巣中心域への人の接近があった阿賀町の事例でした。以後、当該巣で繁殖しなくなったことから、接近を自粛していただくことができました。現在、ペア復活のための施策を検討中です。
    • 2022年5月に前年生まれの幼鳥が1例(1カ所)確認されたため、データを更新しました。

2021年11月29日月曜日

(仮称)新潟関川風力発電事業計画にイヌワシとの衝突防止のための意見書を提出しました。

  •  再生可能エネルギーの普及に取り組んでいる東急不動産株式会社は、2021年10月26日、(仮称)新潟関川風力発電事業計画段階配慮書を公表し、環境保全の見地からの意見を募集しました(11月29日に終了)。
  • 新潟県イヌワシ保全研究会は、再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みを高く評価し、謝意を述べました。
  • 同時に、同事業の計画地と周辺のイヌワシ繁殖地との距離を調査し、風力タービンへの衝突死に関する国内外の論文等を参考に、イヌワシへの影響を予測しました。
  • その結果、イヌワシの衝突死が想定される区域(同事業の計画地から半径30km)には、新潟県内だけで、国内のおよそ4%、山形県内を含めると5%を越えるイヌワシ繁殖地が存在していました。
  • 同事業が計画通り稼働した場合、複数の繁殖地の存続がおびやかされ、個体群の絶滅リスクが増大する可能性が否定できないことから、11月29日付で下記の意見を提出しました。
    • イヌワシの衝突を回避できる距離まで計画地を遠ざけること。
    • もしくは、イヌワシとの衝突を防止できる構造の発電機に変更すること。

2021年11月7日日曜日

(仮称)あさひ風力発電事業計画にイヌワシ衝突防止のための意見書を提出しました。

  • 「環境へのいたわりを大切に、地球環境保全に努める」ことを社の環境憲章に掲げる北陸電力株式会社は、2021年9月30日、(仮称)あさひ風力発電事業 計画段階配慮書を公表し、環境保全の見地からの意見を募集しました(11月1日に終了)。
  • 新潟県イヌワシ保全研究会は、再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みを評価し、謝意を述べました。
  • 同時に、同事業の計画地と新潟県内のイヌワシ繁殖地との距離を調査し、風力タービンへのイヌワシの衝突死に関する国内外の論文等を参考に、イヌワシへの影響を予測しました。
  • その結果、イヌワシの衝突死が想定される区域(同事業の計画地から半径30km)には、新潟県内だけで、国内のおよそ3%に相当するイヌワシ繁殖地が存在していました。
  • 同事業が計画通り稼働した場合、複数の繁殖地の存続がおびやかされ、個体群の絶滅リスクが増大する可能性が否定できないことから、下記の意見を提出しました。
    • イヌワシの衝突を回避できる距離まで計画地を遠ざけること。
    • もしくは、イヌワシとの衝突を防止できる構造の発電機に変更すること。

2021年9月27日月曜日

環境省 イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標を策定しました (1)

  • 本年(2021年)8月、環境省は、「イヌワシ保護増殖事業計画」(環境省・農林水産省1996)に基づき、イヌワシの生息地の拡大・改善につながる取組が全国各地で行われることを促すため、「イヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標」(以下イヌワシ全体目標)を策定したことを報道発表しました。
  • イヌワシ全体目標は、下記の解析結果に基づいています。
    • 生息適地モデルを用いた生息適地評価
    • 個体群存続可能性分析(PVA)
  • イヌワシ全体目標では地域ごとの目標数値を示しており、新潟県は、つがい数40、繁殖成功率36.36となっていました。
  • 新潟県のつがい数は、50前後(小島1992)から35前後(増川2011)に減少しました。近年は、回復したつがい数を消滅したつがいが上回り、35を下回っている可能性があります。一方、新潟県の繁殖成功率は、0.632(小島1992)から0.392(増川2011)に低下しました。近年の繁殖成功率はイヌワシ全体目標値を上回っているものの、つがい数を維持するまでには至っていません。
  • 次回は新潟県の現況をふまえた目標値とイヌワシ全体目標に望むことについて投稿する予定です。

2021年4月5日月曜日

スカイランニングレース規則と粟ヶ岳スカイレースのイヌワシ問題について

  • International Skyrunning Federation Rule(国際スカイランニング連盟レース規則)には、"The organisers must take all necessary measures to avoid designing routes that cross areas with sensitive ecosystems"(日本スカイランニング協会競技規則には”主催者は脆弱な生態系のエリアを通るルートを避けるためにあらゆる手段を尽くし”)と書かれています。
  • 私たちはこの競技規則を高く評価しています。
  • しかしながら、スカイレース(スカイランニングのメイン種目)世界シリーズ2021の初戦であるMt. Awa SkyRace(粟ヶ岳スカイレース)は、イヌワシ(Golden eagle)が人為影響に最も敏感な営巣中心域(nesting core area)を横切っているため、競技規則から逸脱している可能性があります。
  • 実際、2018年、2019年の世界シリーズの時には、イヌワシの異常行動や繁殖中断が観察され、ペア解消に至ったことが新聞でも報道されました(現在は回復)。
  • 粟ヶ岳スカイレース(他の種目を含む)の主催者及び関係者の皆様には、自然環境が脆弱であることを認識し、自主的に大会を見直されることを改めて強く求めます。
  • また、選手の皆様には、イヌワシ問題とともに、地元コミュニティにおける新型コロナ感染症拡大の懸念について思いをはせることを期待します。

2021年1月9日土曜日

2020年、新潟県におけるイヌワシの繁殖成功率は、ここ10年で最低の26.7%!

  • 2020年に県内で確認されたイヌワシの繁殖成功率は0.267 (N = 15) であり,ここ10年で最低でした。
  • 繁殖成否の内訳は,少なくとも1羽以上のヒナを巣立たせたペア数が4,1羽もヒナを巣立たせることのできなかったペア数が11でした.
  • 繁殖失敗したうちの1例は、冬山登山を忌避して抱卵をあきらめたことによるものでした。自然愛好家に対するイヌワシ保護の教育・啓蒙活動が喫緊の課題となっています。
  • 2021/10/24更新

2020年7月20日月曜日

新たな森林・林業基本計画に関する意見書提出

  •  新潟県イヌワシ保全研究会は、林野庁の新たな森林・林業基本計画に関する意見募集に応募し、下記の5分野について各1通の意見書を提出しました。
  1. 【育成複層林の普及について】 育成複層林は、生物多様性保全と木材等生産の両立及び天然生林への誘導並びにイヌワシの生息環境保全に資することから、急・中斜面では0.05~0.1haの群状伐採、中・緩斜面では幅5~10mの帯状伐採等、具体的な施業指針を示して普及を急いでいただきたい。なお、中越森林管理署の群状伐採及び山形県楽天イヌワシの森の帯状伐採では、上記のサイズからなる複数の伐区を配置し、成果がありました。
  2. 【森林経営管理法の付帯決議を反映させること】 新たな森林・林業基本計画には森林経営管理法について記載されることと思いますが、第196回国会閣法第38号付帯決議を反映させるとともに、生物多様性保全については、「有識者の助言を受けられるよう国が支援すること」を補足していただきたい。
  3. 【森林関連情報と新たな資源の利用に資する研究体制の確立】 かつての村持山制度と異なり、川上から川中・川下制度の下で森林資源や生物多様性の状態を消費行動に反映させるためには、科学的データの共有が不可欠です。また、間伐材等資源の新たな利用方法を開発する必要があります。以上をふまえ、林学・保全生態学等研究者の養成、公的研究機関及び行政機関への登用を積極的に進めていただきたい。
  4. 【ウイルス感染症対策を含む違法伐採対策としての国内法の整備等】 国外における違法伐採を含む大面積皆伐は、地球環境の破壊、国産材の自給率の低迷のみならず、野生生物由来のウイルス感染症の要因と指摘されていることから、皆伐面積の規制に関する国内法の整備及びICTを活用した違法伐採の監視等に取り組んでいただきたい。
  5. 【社会的意義に基づく木材生産から流通及び販促の共同について】 我が国は散在した小面積人工林が多いことをふまえ、地域の特色を活かした社会的意義に基づいて、木材生産から流通及び販促の共同及びそれを可能とする森林情報の共有を図っていただきたい。例えば、中越森林管理署では、イヌワシのなわばりと重なる国有林班・民有林班をイヌワシ共生林と名付けて林業振興を図ることとしています。



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雪国観光圏スノーカントリートレイルは、3県7市町村(新潟県:湯沢町、南魚沼市、魚沼市、十日町市、津南町、長野県:栄村、群馬県:みなかみ町)の山岳路、歴史ある古道、温泉地などをつなぐ全長307kmのロングトレイルコースです。 著名なアドベンチャーレーサーであり歴代コースディレ...