2019年7月28日日曜日

粟ヶ岳イヌワシペアの消滅とスカイランニングへの呼び掛け


  • 本年4月20~21日に開催された粟ヶ岳スカイランニング国際大会の後、当地に生息していたイヌワシペアが1羽しか確認されなくなりました。また、繁殖活動も中断していることから、ペアは消滅したものと考えられます。
  • イヌワシは人為影響に敏感であり、開発ばかりでなく山岳レクリエーションの影響を受けることが北米(Spaul & Heath 2017)、北欧(Tikkanen et al. 2018)、及び日本(柳川2012)などで確認されています。また、日本のイヌワシは繁殖成功率が低下し、巣立ちビナが減り続けています。したがって、人為影響が繰り返されて2羽とも消失した場合、ペアが回復できなくなる可能性があります。
  • しかし、ペアの片方が消失した段階なら、人為影響をできるだけ控えることにより、新たな個体が定着し、ペアが回復した事例があります。
  • 以上をふまえ、最短でもイヌワシペアが回復するまでの間、粟ヶ岳登山道周辺におけるスカイランニング及び新たなイベントの自粛を、三条市及び三条市民の皆様に呼び掛けたいと思います。
  • また、1月11日、三条市において開催された「スカイランニング国際大会開催に係るイヌワシ保全に関する検討会」では、三条市から、イヌワシに配慮するための14項目の運営計画が示されました。また、イヌワシに理解のある大会実行委員長(佐藤卓之元県議)及び本会から、それぞれ追加の提案がありました。しかし、大会当日は、三条市の当初運営計画を含む多くのイヌワシ保全対策が実施されていませんでした。このことは、大会運営側の環境意識、規範意識、又は運営体制に何らかの問題があることを示唆しています。
  • 以上をふまえ、イヌワシペアが回復し、スカイランニング大会を再開するにあたっては、保全対策を抜本的に強化することに加え、それを確実に実施するための環境教育及び運営体制の構築を、スカイランニング関係者に呼びかけたいと思います。

2019年5月22日水曜日

環境省、国立公園内におけるトレイルラン等の取扱いを通達。

  • 国立公園をコースに設けるトレイルラン等が多数開催されている実態をふまえ、環境省は、国立公園内におけるトレイルラン等の取扱いをとりまとめ、各地方環境事務所長に通達し、その内容をウェブサイトに公表しています。
  • この通達には「野生動植物への影響を回避するための専門家、自然保護団体等の意見が聴取され、反映されるよう指導すること」と記されており、国立公園内におけるイヌワシに配慮したトレイルラン等の開催に役立っています。
  • 新潟県イヌワシ保全研究会は、この通達を県立自然公園にも適用することを求めています。

信越自然環境事務所が国立公園におけるドローン使用に注意喚起

  • 環境省信越自然環境事務所は、管轄する3つの国立公園(上信越高原国立公園、妙高戸隠連山国立公園、中部山岳国立公園)におけるドローンの使用上の注意点をウェブサイトに公開しています。
  • 内容は、1.希少な野生生物の生育・生息地での使用を控えること、2.プライベート空間や利用者の集中する場所での使用を控えること、3.事前に飛行させる場所を担当している国立公園管理事務所、自然保護官事務所等へ問い合わせることの3点です。
  • 新潟県イヌワシ保全研究会は上記の対策に協力し、必要な情報を提供しています。

2018年12月31日月曜日

2018年における県内の繁殖成功率 0.5を割り込む!


  • 2018年に県内で確認されたイヌワシの繁殖成功率は0.333 ,95%信頼区間が[0.146 ,  0.570],(N = 21) であり,3年ぶりに0.5を下回りました.
  • 繁殖成否の内訳は,少なくとも1羽以上のヒナを巣立たせたペア数が7,1羽もヒナを巣立たせることのできなかったペア数が14でした.
  • 3ペアについては営巣中心域における冬山登山などの人為影響が確認されました.このうちの1ペアは営巣場所を移動して繁殖成功したものの、2ペアは繁殖失敗しており、自然愛好家に対するイヌワシ保全の啓発活動が課題となっています.他の繁殖失敗した3ペアについては,求愛期に何らかの理由でペア個体の一方が入れ替わっており,2018年は繁殖しなかったものの,2019年以降の繁殖が期待されます.
  • なお,2019年の繁殖成功率を調査する過程で2018年の繁殖成功情報が新たに1例得られたことから訂正しました。

2018年9月8日土曜日

2018年9月8日、イヌワシにも配慮した雪国観光圏スノーカントリートレイルがオープンしました!

  • 雪国観光圏スノーカントリートレイルは、3県7市町村(新潟県:湯沢町、南魚沼市、魚沼市、十日町市、津南町、長野県:栄村、群馬県:みなかみ町)の山岳路、歴史ある古道、温泉地などをつなぐ全長307kmのロングトレイルコースです。
  • 著名なアドベンチャーレーサーであり歴代コースディレクターを担当された田中正人氏、倉田文裕氏、および事務局スタッフの皆様には、コース設定に当たってイヌワシ保全に配慮いただきました。心よりお礼申し上げます。

2018年5月16日水曜日

新潟県内の森林管理署等の重点取り組み事項公表 イヌワシ保全が盛り込まれる! 


  • 林野庁関東森林管理局は新潟県内の国有林を管轄する森林管理署(上越署、中越署、下越署、村上支署)の重点取り組み事項を公表しました。(資料へリンク
  • 「野生生物との共存に向けた取り組み」では、野生鳥獣被害対策、ライチョウおよびトキの保護、イヌワシの生息環境を保全するための森林施業等が盛り込まれました。
  • 「林業の成長産業化への貢献」では、民有林との連携強化と民有林行政への支援が強調されました。「緑の国土強靭化に向けた取り組み」では、豪雨災害や崩壊地等の復旧、活火山焼山の予防治山対策、海岸保安林の整備等が盛り込まれました。また、「国民の森林としての管理経営」では、自然観察やふれあいの場の提供、国民参加の森林づくり等が盛り込まれました。

2018年4月21日土曜日

2018 スカイランニング日本選手権 粟ヶ岳バーチカルキロメーター開催。次回大会に向けて保全対策を提案!

  • 4月21日、”2018 スカイランニング日本選手権 粟ヶ岳バーチカルキロメーター(Mt. AWA VERTICAL KILOMETER)”が予定どおり開催されました。なお、新潟県イヌワシ保全研究会(以下本会)会員の事前調査により、大会コース近くのイヌワシは、今年は繁殖していないことが示唆されていました。
  • 大会に先立つ2月27日、本会と実行委員会との間で意見交換会がありました。本会からの指導および実行委員会の自主的な提案をふまえて、レース撮影用のドローンの禁止、蛍光色や鳴り物応援の自粛、違反者の失格措置、イヌワシの異常行動が確認された場合のレース中止の検討、実行委員会によるイヌワシ啓発活動を含む保全対策が採られることとなりました。また、三条市が林業に力を入れていることをふまえて、本会は、イヌワシの採食行動を妨げている密生した人工林等の伐採を提案しました。
  • レース中のイヌワシをモニタリングした結果、それまでとは行動圏および行動内容が異なっており、仮にイヌワシの繁殖中にレースが開催されていた場合、繁殖失敗やイヌワシの営巣場所の放棄につながる重大な影響が懸念されました。また、一般応援者によるドローンの使用等、保全対策を徹底することの難しさも浮き彫りになりました。
  • 一方、実行委員長(佐藤卓之県議)をはじめとする地域の方々からは、大会を契機に、地域の林業振興とイヌワシとの共存をはかろうとする動きも出始めています。
  • 本会としては、環境影響緩和策の基本(回避→低減→代償)をふまえつつ、地域振興の熱い思いに応えるため、次回大会に向けた提案を行っています。
  • 大会コースの変更(回避)→大会開催時期の変更(低減)→区域を定めた林業振興によるイヌワシ採食地の拡大(代償)。

注目記事

2018年9月8日、イヌワシにも配慮した雪国観光圏スノーカントリートレイルがオープンしました!

雪国観光圏スノーカントリートレイルは、3県7市町村(新潟県:湯沢町、南魚沼市、魚沼市、十日町市、津南町、長野県:栄村、群馬県:みなかみ町)の山岳路、歴史ある古道、温泉地などをつなぐ全長307kmのロングトレイルコースです。 著名なアドベンチャーレーサーであり歴代コースディレ...