- 本年4月20~21日に開催された粟ヶ岳スカイランニング国際大会の後、当地に生息していたイヌワシペアが1羽しか確認されなくなりました。また、繁殖活動も中断していることから、ペアは消滅したものと考えられます。
- イヌワシは人為影響に敏感であり、開発ばかりでなく山岳レクリエーションの影響を受けることが北米(Spaul & Heath 2017)、北欧(Tikkanen et al. 2018)、及び日本(柳川2012)などで確認されています。また、日本のイヌワシは繁殖成功率が低下し、巣立ちビナが減り続けています。したがって、人為影響が繰り返されて2羽とも消失した場合、ペアが回復できなくなる可能性があります。
- しかし、ペアの片方が消失した段階なら、人為影響をできるだけ控えることにより、新たな個体が定着し、ペアが回復した事例があります。
- 以上をふまえ、最短でもイヌワシペアが回復するまでの間、粟ヶ岳登山道周辺におけるスカイランニング及び新たなイベントの自粛を、三条市及び三条市民の皆様に呼び掛けたいと思います。
- また、1月11日、三条市において開催された「スカイランニング国際大会開催に係るイヌワシ保全に関する検討会」では、三条市から、イヌワシに配慮するための14項目の運営計画が示されました。また、イヌワシに理解のある大会実行委員長(佐藤卓之元県議)及び本会から、それぞれ追加の提案がありました。しかし、大会当日は、三条市の当初運営計画を含む多くのイヌワシ保全対策が実施されていませんでした。このことは、大会運営側の環境意識、規範意識、又は運営体制に何らかの問題があることを示唆しています。
- 以上をふまえ、イヌワシペアが回復し、スカイランニング大会を再開するにあたっては、保全対策を抜本的に強化することに加え、それを確実に実施するための環境教育及び運営体制の構築を、スカイランニング関係者に呼びかけたいと思います。
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2019年7月28日日曜日
粟ヶ岳イヌワシペアの消滅とスカイランニングへの呼び掛け
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