2022年1月16日日曜日

風力発電所はイヌワシ個体群の絶滅可能性を高めるか:シミュレーションを試みました(2022年1月16日更新)。

  • 風力発電所のバードストライクにともなうイヌワシ個体群の絶滅可能性への影響を予測するため、富山‐新潟県境又は新潟‐山形県境に風力発電所が建設されることを想定したシミュレーションを試みました。
  • 今回の更新は、環境省が公表したイヌワシ生息地拡大・改善に向けた全国目標について及び出生地分散の最新の知見を取り入れた「新潟県におけるイヌワシの繁殖成功率改善目標(2)」に対応したものです。
  • 事前に、1990年から2010年までの本州中央部イヌワシ個体群における地域別ペア数の減少を再現できるパラメータを選択しました。
  • 2025年に2カ所の風力発電所のどちらかが稼働することを想定し、既往資料においてバードストライクの多い風力発電所周辺30km以内(10×10kmメッシュセル3個分、端数は6捨5入)の生存率を低下させました。
  • 2030年に3つの繁殖成功率シナリオ(繁殖成功率の改善なし、環境省目標に従って改善、新潟県内は本会の独自目標に従い他の地域は環境省目標に従って改善)を作動させ、100年後(2120年)のペアの絶滅可能性(%)を推定しました。
  • 100年後のペアの絶滅可能性の増加分は、繁殖成功率の改善なしシナリオが7.4から8.4%pt、環境省目標に従うシナリオが1.4%pt、環境省目標+独自目標に従うシナリオが0.2から0.3%ptでした。



  • 繁殖成功率が目標どおり改善された場合、風力発電所の建設に起因する絶滅可能性の増加分はわずかになるものの、100年後のペア数の回復分は24ペアから29ペアも少なくなると予測されました。


  • イヌワシの絶滅可能性の増加及び生息地回復の阻害を避けるため、風力発電所の建設にあたっては、イヌワシ繁殖地から少なくとも30km遠ざけるか、もしくは衝突死の発生しない構造の発電機を採用することが必要です。

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